春爛漫、京都の知られざる名庭「白龍園」へ

2016.4.26

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貴船・鞍馬に続くローカル線、叡山電鉄に乗って京都の里山へ出かけます。

1日100人限定の庭

京都の歴史や伝統を感じる神社や仏閣もいいけれど、桜の時期や紅葉のシーズンは、どこも観光客でいっぱい…。もっと落ち着いて静かな季節の移ろいを感じたい。そんな、ちょっと贅沢な悩みを持つ方におすすめなのが、京都市北部の二ノ瀬にある「白龍園」。

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ちょっと耳慣れない名で、京都観光に慣れた方でも知らないことが多いはず。この庭が一般に開放されるようになったのは、2012年のこと。しかも現在は、春季・秋季のみの1日限定100人のみが拝観可能で、事前予約も不可という、とても貴重なこの庭。希少性もさることながら、その美しさにも今後、注目が集まること必至のスポットなんです。

美しい苔の絨毯と草木が彩る別天地

里山に囲まれた二ノ瀬は街の喧騒とは無縁。園内には、川の流れる音や鳥のさえずりだけが聞こえます。

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白龍園の魅力はこの静けさと、隅々まで手入れの行き届いた植栽が織りなす景観の美。足元や木々の幹、庭石に茂る苔の緑、四季折々に様を変える草木に心奪われます。

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訪れたのは4月の初め。満開を迎えた桜が風に舞い、視界を染める様子はまさに別天地!この桜の時期が過ぎれば新緑、そして秋には穏やかな紅橙のもみじと、色彩豊かな花や草木のリレーを楽しむことができます。

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そして、なによりも心癒されるのが陽光や朝露を抱いて輝く苔。入場制限し、日々丁寧に手入れをしているため踏み荒らされることなく、自然のまま美しく保たれています。石畳の間も階段も石積みも、至る所見事に苔むした眺めは、さながら深山幽谷の山寺。移ろいゆく花葉が奏でる瞬間の艶やかさとコントラストをなす、時を止めたような侘びた苔の魅力をぜひご堪能あれ。

 

50年にわたって、守り継がれる景観

白龍園を維持管理するのは、株式会社青野という子供服のメーカー。50年ほど前に、創業者が山を買い取り、白龍園を造ったのだそう。購入した当初は、木々は手入れもされず荒れ放題。そこを社員とともに石を積み、桜の苗木を植え、紅葉を育て、苔を増やし続けてできたのがこの景観。ここに至るまで、実に50年。三代目社長の時代となった現在でも5人の社員が毎日この庭の草木の世話をしています。その中でも最も年長の方は、山を買い取った時からずっとこの庭を守り続けているのです。

 

白龍園への行き方は…?

白龍園を拝観するためには、事前にチケットを購入する必要があります。チケットの購入場所は比叡山電鉄出町柳駅で、白龍園の拝観のみ(1,300円)、叡山電鉄の1日フリー乗車券つき(2,000円)があります。白龍園は叡山電鉄二ノ瀬駅から徒歩5分ほどですので、沿線の観光スポットに立ち寄ることを考えると、乗車券付きが断然お得。販売は午前9時から始まりますが、100名分がすぐに完売となることもあるので、早めに並んでおくことをオススメします。また、事前の予約なども行っておらず、当日分のみ一人一枚のみの購入となるため、来園予定の方は必ず全員でお並びくださいね。
※掲載情報は2016年4月現在のものです。庭園の公開日時は、白龍園のウェブサイトなどでご確認ください。

京都市北部、里山名物はスパイシーな香り?

白龍園には東屋などもあり、ゆっくりと休憩をしたいところですが、園内は飲食禁止です。そこで、この地域ならではの美味しいものを探して再び叡山電鉄に乗り、やってきたのは終着駅、鞍馬。この時期に京都市北部の山野を散策すると目につくのが、春を迎え青々とした山椒の木。日本料理では「木の芽」として重宝されるこの葉を手に取って鼻を近づけると、爽やかでピリッとした香りがします。

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洛北は山椒の産地。特に標高が高く、寒冷な気候の中で育った山椒は、他の地域のものよりも、香りが高く上品で穏やかな刺激が特徴です。鞍馬駅の目の前にある昭和6年創業の和菓子屋「杉々堂(さんさんどう)」さんは、この山椒をちょっと変わった方法で使っているんです。それは、なんと山椒の粉を練り込んだ大福、「山椒餅」。

口に含むと程よい刺激。爽快な辛味と香りが、餡の控えめな甘さを引き立てます。一つ110円というリーズナブルな価格も嬉しいですよね。

杉々堂
住所:京都府京都市左京区鞍馬本町242
TEL:075-741-2155
営業:9:00〜17:00 不定休

人の手がつなぐ、洛北の原風景

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50年、三代にわたって景観を守り継ぎ、人々の目を楽しませる白龍園。きらびやかで荘厳な伝統を誇るメジャーな観光スポットとは一味違う、素朴で、この地に生きる人々の優しい気持ちに触れることができました。

文責:つむぐarticles 鷲巣謙介
編集:サンダイジ & アラカワ

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