パリパリふわっ 紅しょうが香…
クロレラレシピ集
ハウス栽培が盛んになって、季節を問わず野菜が買えるようになりましたが、それでもやっぱり冬の野菜売り場は、少し寂しげ。
でも、3月ともなれば一気に売り場は様変わり。そう!春野菜の登場です。
特に、旬を感じる山菜が出てくると「いよいよ春だ!」と嬉しくなりますよね。晩冬のセリや菜の花に始まり、浅い春にはうるいやフキノトウ、ギョウジャニンニクにタケノコ、タラの芽・ゼンマイ・ワラビ・うど、変わりどころではコシアブラやつくしなども。
ご家庭はもちろん、気の利いた居酒屋さんでは季節の一品として出してくれるところも多い山菜や春野菜。あの独特のほろ苦さがたまりません。
『春野菜 = ほろ苦い』というのは、多くの人が感じるところ。今回はそんな、苦さの秘密に迫ります。
私たちの舌は「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」を感じ取ることができます。そのうち、「甘味」「塩味」「うま味」は栄養素を感じるシグナル、「酸味」は腐敗、「苦味」は毒物などを感じる危険信号とされています。
現に動物の多く(特に肉食の動物)は、苦味に敏感で、猫などは強く嫌います。
となれば、「山菜のあの苦味は毒なの?」と思いがちですが、一口に苦味といっても多くのパターンがあるのです。
例えば、コーヒーの苦味はアルカロイドの一種、カフェイン、お茶やワインはポリフェノールのカテキン、にがりはミネラル塩、ビールであればテルペノイドなどなど…。
苦味の成分を選り分けられない動物と違い、人間は経験や習慣から食べられる苦味を見つけ、嗜好として取り入れています。
また、人間はストレスを感じると苦味への感受性が下がり、苦い物を美味しいと感じる傾向にあるといいます。ビールやコーヒーが特別美味しいと感じられるようになったあなた、もしかしてお仕事や家事に追われてストレス過多になっていませんか?
春に出回る山菜や旬の野菜の多くは、ポリフェノールやアルカロイド、シュウ酸など、それぞれに苦味や渋み(アク)の成分を持っているのです。
一説ではこうした苦味を持つことで、冬を乗り越え吹き出たばかりの芽を動物に食べられないようにしているというのですが、悲しいかな、苦い物を美味しく感じるようになった人間にとっては、またとないご馳走になってしまいました。
また、苦味の成分であるポリフェノールや特定種類のアルカロイドなどは適度に摂ることで、身体に良い影響をもたらすことも次第に明らかになってきています。
子供の頃、食卓に並んだ山菜を口に入れると、アクの強さや苦味にタジタジとなったものです。あれはきっと経験が少なく、苦味に対する本能が勝っていたのでしょう。それが齢を重ねて、美味しく感じられるようになり、仕事後のビールと山菜のてんぷらは格別の味わいです。
文責:つむぐarticles 鷲巣謙介
編集:食品栄養科学博士 フジシマ