夏こそ飲みたい!日本伝統の発酵飲料「甘酒」

2016.7.13

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甘酒というと、冬の屋台や神社の振る舞いでいただく、あったかーい飲み物のイメージ。寒い季節にふうふうと冷ましながら飲むのが幸せな飲み物ですが、実はこの甘酒、夏バテの予防などにもオススメなんだそう。なんでも、別名「飲む点滴」と呼ばれているとか。その名前の理由を栄養の秘密から迫ります。

知ってた?甘酒のチカラ。

そもそも、私たちの飲んでいる甘酒には2種類あるのを知っていますか?

その違いは材料と作り方。ひとつは米麹に水を加え熱を通してデンプンを酵素の力で分解させたもの、もうひとつは酒かすに水や砂糖を加えて火を通したものを使ったものです。双方ともに麹菌を利用した発酵食品で、麹の仕込みや酒造発酵の過程で様々な栄養素が生まれます。

こうして生まれた甘酒の栄養素は、甘みの元になるブドウ糖やオリゴ糖に加え、ビタミンB1、B2、B6、パントテン酸などのビタミン類、アルギニンやグルタミンなどのアミノ酸類、食物繊維にミネラル類と実に種類豊か。これらの栄養素の種類が、点滴に含まれる内容とよく似ているので別名を「飲む点滴」と言われているのです。

また、栄養素だけでなく甘酒は、消化の面からも体に優しいのが特徴。お米が発酵されているため、エネルギーが豊富であるのに、消化や吸収時に小腸にも負担をかけづらいのも魅力。つまり、食欲が落ち暑さによるストレスでお腹の具合が悪くなりがちな夏場に最適な飲み物なんですよ。

もともと甘酒は、夏の飲み物だった!?

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甘酒はそもそも、古来夏の飲み物。俳句でも「甘酒」は夏の季語とされています。

その歴史は古墳時代にまでさかのぼるというから驚きです。また、江戸時代には夏バテ予防の甘酒が大人気を博し、多くの行商人が往来を「あ〜まざけ〜」と呼び声も高く売り歩いていたそう。一説には武士が二日酔い防止のためにお酒の席の前に飲んでいたなんて話も…。

遠い昔、甘酒は今でいう「栄養ドリンク」として飲まれていたんですね。

とはいうものの、現代では「さすがに熱い甘酒を夏場に飲むのは無理!」という暑がりさんもいるはず。そんな方には、冷やし甘酒がオススメです。市販の甘酒を冷蔵庫で冷やして、氷を浮かべて飲むと、こってりとした甘さが和らいでなめらかな飲み口に。お好みで、コップの底に入れたジャムやコンフィチュールの上に、冷やし甘酒をそっと注いで混ぜながら楽しんだり、ドライなジンジャエールや豆乳などで割るのも◎!

クロレラくらぶでもオススメしていますよ!

・ジャムと甘酒の2層ドリンク
 https://www.chlorellaclub.com/cooking/recipe/1475/

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これからさらに暑い日の続くこの時期、一日中炎天下を歩いて食欲がなくなった時や、夏バテ気味の時に手軽にバランス良く栄養を摂るために、今年の夏は冷やし甘酒、試してみませんか?

甘酒に関するちょっとした注意

口当たりの良い冷やし甘酒ですが、主な成分はブドウ糖であるため、飲み過ぎてしまうと糖質の摂りすぎにつながることも。栄養は豊富で消化吸収にも優れていますが、夏バテ予防にはバランスの良い食事や適度な運動も必要。あくまで食生活の一部として取り入れて、食欲がない時や気分をリフレッシュするために甘酒を楽しんでくださいね。

また、アルコールに弱い方や運転をする方は、酒かすを使った甘酒を作る際、しっかり火を入れてアルコール分を飛ばすよう心がけて!

文責:つむぐarticles 鷲巣謙介
編集:食品栄養科学博士 フジシマ