パリパリふわっ 紅しょうが香…
クロレラレシピ集
2015.9.14
秋茄子、秋鮭、本しめじ、松茸、銀杏、ぶどう、柿、戻り鰹に新サンマ。スーパーやデパ地下にも秋の食材をよく見かける季節になったけれど…「なんだか最近、食欲がないし、何を食べても美味しくない…」なんて人、いませんか? 夏バテを引きずっているだけならいいのですが、もしかしたら、舌の調子が狂っているのかもしれません。
物流や農業、漁業の技術が発達して、「食卓に季節感がない」と言われるようになって久しいものの、やっぱり旬の食材をその時期に食べるとうれしいですよね。本来、その季節にしかない味わいを感じると、「四季ってスバラシイ!」なんて、思ってしまいます。でも、驚くことに梨とリンゴの味の違いがわからない、なんていう人が増えているそう。
「味覚障害」と呼ばれるこの症状は、1990年代には日本国内で、14万人だったものが、2000年代には24万人と激増中。「味が全くわからない」というものから、「料理の味が薄く感じられる」といったものまで症状は違うものの、淡白な味わいから感じられなくなっていくのが特徴です。
あなたは最近、家族や友達から「最近、味付け濃くなってない?」って言われていませんか?
味覚障害の原因として考えられるのは3つあります。
特に亜鉛不足は味覚障害の7割を占めると言われています。
私たちの舌には味蕾(みらい)という味を感じるセンサーとなる器官があり、この器官の細胞は約1ヶ月という早いスパンで代謝を繰り返します。細胞が新しく生まれ変わる時に使われるのが亜鉛。亜鉛は、レバーや海藻類、牡蠣に多く含まれますが、ダイエットや外食で栄養が偏って十分に摂取できないと味蕾が再生できず、味を感じにくくなってしまうというわけです。
日本では、亜鉛の推奨量は成人男性で12mg/日、成人女性では9mg/日とされていますが、実際は男性で平均8.9mg/日、女性で平均7.3mg/日しか摂れていないのが現状です。「もしかしたら味覚障害かも…」と思ったら、亜鉛を含む食品を試してみては?
また亜鉛不足以外でも生活習慣によって味の濃いもの、刺激の強いものを毎日のように食べていると味蕾が破壊され、濃い味に舌が慣れ過ぎてしまい、食材の持つ本来の味がわからなくなってしまうことも。
これは味覚障害というよりも、味覚の習慣のズレに近いのですが、家族のための食事を作ったり、健康のための栄養管理を行う上ではとても重大な問題となります。
3つ以上当てはまった場合は、要注意。周りの人とあなたでは味の感じ方がずれ始めているかもしれません。
濃い味に慣らされていても大丈夫。味蕾が再生するのに合わせて、自分の舌をリセットすることができれば、味覚は鍛えられます。繊細な味わいがわかると、食べる楽しみはもっと広がります。そんな時にぴったりなのが、江戸の五白という食べ物です。
江戸っ子が好んだ5つの白い食材。白米、豆腐、大根、鯛と白魚。いずれも垢抜けた淡白な食味が特徴です。この5つのいずれかを、毎日の食卓に並べてみましょう。ただしその際マヨネーズ、ソース、ケチャップ、醤油などをつけて食べるのは厳禁。つけていいのは感じるか感じないかギリギリのラインの塩だけ。現代の濃厚で複雑な味に慣れてしまうと「味がしない」と思ってしまうかもしれませんが、食べ慣れてくるうちに、白米の糖化された甘みやうまみ、豆腐の甘みや香り、大根の辛味と甘み、魚のアミノ酸がもつ豊かなコクを感じられるようになってきます。
これはあなたの舌が、わずかな味の刺激を感じられるようにリセットされた証拠。そうなると、いつもの食事や、手をかけた料理屋のご飯がぐっと一層美味しく感じられるようになっているはず!
「美味しさいっぱい」の食欲の秋に向けて、今から味覚のダイエットとトレーニングを始めてみませんか?
江戸の五白も良いのですが、もうちょっと味わい深いものを…。そんな贅沢な方にオススメなのが「昆布とろ」。かの北大路魯山人が、暑くて食欲がないときでもご飯が5杯はいける!と請け負った一品です。しかも、使用する昆布には亜鉛が多く含まれているので一石二鳥!舌を鍛えつつ、味蕾の再生もサポートするベストメニューです。
オイシイ!ポイント
昆布の粘りが出るまで15分ほど。出汁全体に行き渡るまでさらに20分ほどはかかります。非常に手間のかかる作業ですがそれだけの価値はあり!ご家族と一緒にどうぞ。また、しっかりと「あく抜き」をした糸こんにゃくにかけた汁そば風も絶品です。
文責:つむぐarticles 鷲巣謙介
編集:食品栄養科学博士 フジシマ