世界に一つだけの自分の色と出会う旅。 染色シリーズ その2

2016.5.24

色は命そのもの。

ある日出会った素敵なことばがあります。
『 色は単なる色ではなく 命 』
これは人間国宝の染色家、志村ふくみさんのことばです。

それからずっとこの言葉が気になっていて、昨年ついに藍染体験に行きました。染色液に浸けるたびに少しずつ表情を変えていく白い布。世界に一つだけの自分の藍との出会いがありました。その後志村ふくみさんの工房を訪れ、梅の枝で染色を体験。じっくりと時間をかけて植物が溜めた色を、じっくりと抽出して、丁寧に染め上げます。もし枝が違うものだったり、時期が異なれば同じ色は出せません。この瞬間にだけ出会うことが許された、命の色がそこにはありました。
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梅で染めた命の色

リサコ、植物染めに魅せられる。

とても奥深い植物染めの世界ですが、人工染料ができる前は日常的に行われていたもの。植物染料で有名な藍や紅花などの他にもタマネギの皮や紅茶など、身近なものでも染めることができます。次は何で染めようかとワクワクしていると、近所に染料店を発見!さすが京都、さっそく覗いてみます。するとそこには想像以上に沢山の染料や布がありました。私は着物を良く着るので、帯揚げという絹の白生地を購入。染料は赤系とカーキ系が欲しかったのでそれぞれ『茜』と『エンジュ(槐)』を選びます。本当は植物から色素を抽出したいところですが、初心者なので抽出済みのエキスタイプを買いました。
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茜:根が赤色の染料に。※実際に使ったのはエキスタイプのものです。

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エンジュ:花が黄色の染料になります。※実際に使ったのはエキスタイプのものです。

焙煎ではありません。『媒染』です。

染色剤は色素を定着・発色させるために媒染剤という金属を必要とします。金属と聞くと、植物染めの優しい世界から遠い響きがありますが、そんなことはありません。実は身近なものに金属は含まれていて、昔の人はそれを上手に使って染色していました。たとえば灰汁(アク)にはアルミニウムが、泥には鉄が含まれていて、それぞれ異なる発色になります。今回は明るい発色のアルミと、渋めの鉄を選びました。

いざ植物染めの世界へ。

布の汚れを落としたら、染色の前に媒染をします。そうすると、後の染色工程で発色を見ながら好みの色で止められるので便利なのです。加熱しながら60~70℃で20分媒染しました。途中でお湯がだんだん熱くなって気づきました。
手が熱いっ!!ゴム手の中に軍手をして仕切り直しです。挑戦される方は気を付けてくださいね(笑)
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鉄媒染の色。すこし黄味がかってます。

媒染した布は乾燥させて、後日染色をすることも可能ですよ。

●茜染色
続いて染色。まずはアルミ媒染のものから、薄めの濃度で開始。40℃程度から始めて、5分程度布をくぐらせたら、徐々に温度を上げていきます。その間布はゆらゆらとお湯の中で動かし続けます。60~70℃で20分染めたら、一度お湯ですすぎます。
淡くて良い色でしたが、茜色に染めたかったので、染料を追加し20分染色する工程をその後2回繰り返しました。
ところがどういうことでしょう、一向に茜色にならない…!何故??
残念なことに原因はわかりませんでしたが、この珊瑚色も悪くないかなと自分を納得させて、すすいで終了です。うーん、ずっと前傾だったので背中が痛くなりました…。思ったより肉体労働です。
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※1~4の工程を3回繰り返しました。

一方、鉄媒染の方は1回の染色で欲しかったベージュ色になり、あっさり終了。
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媒染違いで2枚比較するとこんなに色が違います。左が鉄、 右がアルミ。

●エンジュ染色
茜がソフトに染まったので、エンジュは濃いめで染めてみました。アルミ媒染の方から染色です。
するとなんと!驚きの発色!!まるで沢庵のよう!!!これには本当に驚きました!
予想をはるかに超えた黄色、、エンジュ恐るべし!
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沢庵で学習したので、鉄媒染の方は低濃度にしましたが、やはり強めの発色ですぐに濃いカーキ色になりました。
ものによって染まり易さも全くちがって、そこが面白いんでしょうね。
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こちらも媒染違い。左がアルミ、右が鉄。

どんな着物に合わせよう。

思った通りの色もあればそうでは無かったものもありますが、予想外の色がでたからこその新しいコーディネートも。
こんな風にちょっとポップな着物に合わせてみるのもいいかも。
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カラフルな着物と帯揚げコーデ。どの色も自分だけの一点もの。頂いた色を大切に使いたいですね。

生地は蚕の命から、色は植物の命から。命をいただいて染める一期一会の色。また奥深い世界の扉を開けた気がします。

この記事を書いた人

リサコ

Webページ担当、ときどき商品開発。
職人の手仕事が好物の和風OL。キモノ通勤が夢。

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